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圧力鍋の圧力値はどれくらい?表示の読み方と目安をやさしく解説

台所のカウンターに置かれた電気圧力鍋と、手前に広げた仕様表の紙。読み手が指で1行をなぞっている キッチン家電
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電気圧力鍋の圧力値は15〜100kPaの範囲にあり、最も多いのは70kPa前後です。沸点の理論値は、70kPaで約115℃、100kPaで約120℃です。

ただし、数字の大小だけで比べると判断を誤ります。項目名がメーカーごとに違い、「気圧」で書く機種もあり、高圧ほど待ち時間が延びる場面もあるからです。

私も最初は「kPaが大きいほど優秀」と単純に並べて、仕様表の前で何度も手が止まりました。この記事では、単位の読み方、温度との関係、15機種の公式値、高圧と待ち時間の関係を、出典を示しながら順に整理します。

この記事の要点

  • 電気圧力鍋の圧力値は15〜100kPa。70kPa前後が標準帯で、100kPaが高圧帯
  • kPa表記は「大気圧からの上乗せ分(ゲージ圧)」として読む
  • 「気圧」表記は大気圧込みの値が多く、約101kPaを引くとkPa表記の機種と比べられる
  • 高圧ほど減圧が長くなる傾向があり、総時間で得をするのは加圧の長い料理

電気圧力鍋の圧力値は何kPa?15〜100kPa、標準は70kPa

2026年10月時点でメーカー公式が公開している電気圧力鍋の圧力値は、低いもので15kPa、高いもので100kPaです。

その中心にあるのが70kPa前後です。「70kPaが標準、100kPaが高圧側、15kPaは別系統」という目盛りを先に持っておくと、仕様表が格段に読みやすくなります。

70kPa前後が最も多い

パナソニック公式の仕様ページでは、NF-PC400の最高圧力は70kPaです。

アイリスオーヤマ公式でも、KPC-MA4、PC-MA4、KPC-MA3の最高圧力はいずれも70kPaと記載されています。

ティファール公式のCY8751JPも70kPaです。

山善の公式商品ページのYPCB-M220も同じく70kPaで、容量もメーカーも違う機種が同じ数字に集まっています。

標準の70kPa帯で迷うなら、公式が圧力70kPa・調理温度約115℃と明記しているパナソニック NF-PC400が、数字の裏づけがいちばんはっきりしています。

100kPaは高圧タイプ、15kPaは低圧タイプ

高い側では、シロカ公式でSP-MC2D151とSP-MC5D171の使用最高圧力が100kPaです。

パナソニック公式のNF-AC1000の最高圧力も100kPaです。

高圧側を選ぶなら、同社が別機種で「ゲージ圧」と明記していて基準の読み方がそろうシロカのおうちシェフクッカーが候補になります。

低い側では、タイガー公式のCOK-B220、COK-B400、COK-N400の最高圧力が15kPaです。同じ「電気圧力鍋」でも、圧力の設計には7倍近い幅があります。

コンロ用は別のレンジとして読む

ガス火やIHで使う圧力鍋は、電気圧力鍋と同じ表で比べないほうが安全です。アイリスオーヤマ公式のコンロ用の圧力鍋のページでは、KAR-3LSが低圧60kPa/高圧100kPaの切り替え式です。

この記事の比較表は電気圧力鍋だけで作っています。コンロ用の数字は、温度や待ち時間の仕組みを説明する補助線として使います。


圧力鍋の「kPa」とは?ゲージ圧で読むのが基本

kPa(キロパスカル)は圧力の単位で、1kPaは1000Paです。天気予報のhPa(ヘクトパスカル、100Pa)と同じ物差しの仲間です。

ここで一番大事なのは単位そのものより、「どこを基準にした圧力か」です。

ゲージ圧と絶対圧の違い

圧力の表し方には、基準の取り方によって大きく2種類あります。

  • ゲージ圧:大気圧を基準にした圧力。「外の空気よりどれだけ上乗せされているか」
  • 絶対圧:完全な真空を基準にした圧力。標準大気圧は絶対圧で101.325kPa

圧力鍋で知りたいのは「ふたの内側が外よりどれだけ高いか」なので、ゲージ圧で読むのが基本になります。

法律の世界でも同じ読み方をしています。経済産業省の通達「消費生活用製品安全法特定製品関係の運用及び解釈について」では、法令にある「9.8キロパスカル以上のゲージ圧力」を、外部の気圧より内部の気圧が9.8kPa以上高い状態だと説明しています。

公式表記がゲージ圧だと分かる理由

メーカーの仕様表で「ゲージ圧」と明記している例は多くありません。シロカ公式がSP-2DP251を「95kPaゲージ圧」、SP-5D152を「100kPaゲージ圧」と書いているのは、むしろ丁寧な例です。

では明記のない機種はどう読むか。私は温度との組み合わせで判断しています。

パナソニック公式はNF-PC400を圧力70kPa、圧力調理の温度を約115℃としています。もし70kPaが絶対圧なら大気圧より低い状態なので、水は100℃より手前で沸騰し、115℃には届きません。

この組み合わせは、ゲージ圧として読んだときにだけ成り立ちます。kPa表記の機種はゲージ圧として読んで差し支えない、というのが私の結論です。

仕様表の項目名はメーカーでバラバラ

同じ「圧力」でも、各社の公式仕様表では呼び名が揃っていません。

  • 最高圧力(パナソニック、アイリスオーヤマ、タイガー、山善)
  • 使用最高圧力(シロカ、アルファックス・コイズミ、コイズミ)
  • 作動圧力(ワンダーシェフ OEDG30)
  • 調理圧力(タマハシ ET-104)
  • 調理時の最高圧力(A-Stage Re・De Pot EPC01A-20)
  • 圧力値(ティファール CY8751JP)

厳密には、「作動圧力」は圧力を調整する弁が働く圧力を指す場合があり、安全装置側の上限とは別の値であることもあります。この記事では、どれも「調理中にかかる圧力の目安」として同列に並べていますが、それは比較のための便宜だと受け取ってください。

名前が違うと別の項目に見えて、比較のときに取りこぼします。私は今、仕様表を開いたら項目名ではなく「kPa」という文字を先に探します。こちらのほうが確実に見つかります。


「気圧」表記の圧力鍋は何kPa?象印・東芝の換算方法

「気圧」で書かれた値は、1気圧≒101.3kPaで換算できます。ただし大気圧を含めた値(絶対圧)として書かれていることが多く、kPa表記の機種と比べるには大気圧ぶんを引く必要があります。

象印EL-MB30と東芝RCP-30Rの場合

象印の2017年8月のニュースリリースでは、EL-MB30の圧力は1.2気圧です。東芝の2021年10月5日のプレスリリースでは、RCP-30Rは1.8気圧/1.4気圧の切り替え式と案内されています。

絶対圧として読むと、ゲージ圧への換算は次のとおりです。

  • 1.8気圧 → 約182kPa − 大気圧約101kPa = 約81kPa相当
  • 1.4気圧 → 約142kPa − 約101kPa = 約41kPa相当
  • 1.2気圧 → 約122kPa − 約101kPa = 約20kPa相当

絶対圧として読む根拠

根拠は、ほかの機種との並びです。もし1.8気圧をゲージ圧で読むと約182kPaになり、今回確認した電気圧力鍋で最も高い100kPaを大きく超えてしまいます。

一方、絶対圧として読めば約81kPa相当で、ショップジャパン公式のクッキングプロ V3(高圧80kPa)とほぼ同じ位置に収まります。分布の中で無理なく収まるのは、絶対圧として読んだほうです。

それでも、個別の機種で基準が明記されていない以上、断定はしません。比較表に入れるときは、換算値の横に「絶対圧として換算」と条件を書き添えています。

迷ったら取扱説明書か窓口で確認

気圧表記の機種をkPa機種と本気で比べたいなら、取扱説明書の仕様欄を見るか、メーカー窓口に「ゲージ圧か絶対圧か」を聞くのが確実です。

数字だけが一人歩きすると、半年後に読み返した自分でも誤解します。条件ごと記録しておくのが、遠回りに見えて一番早い方法です。


圧力値で何度になる?70kPaは約115℃、100kPaは約120℃

圧力鍋の価値は、圧力そのものではなく「沸点が上がり、100℃を超えた温度で煮られること」にあります。目安は70kPaで約115℃、100kPaで約120℃です。

圧力と温度の対応表

下の表は、ゲージ圧ごとの絶対圧と、水の沸点の理論値をまとめたものです。理論値は、飽和水蒸気の物性(蒸気表)から計算した値で、メーカーの公式値ではありません。

ゲージ圧絶対圧(目安)沸点の理論値公式に書かれた例
0kPa(普通の鍋)約101kPa100℃-
15kPa約116kPa約104℃-
40kPa約141kPa約110℃-
70kPa約171kPa約115℃パナソニック NF-PC400:約115℃
80kPa約181kPa約117℃ケニス「高圧圧力鍋 3L」:116℃
100kPa約201kPa約120℃-
140kPa約241kPa約126℃ケニス「高圧圧力鍋 3L」:126℃

ケニスの「高圧圧力鍋 3L」は研究用の簡易滅菌を目的とした理科学機器で、調理用ではありません。それでも、公式に書かれた温度と理論値がほぼ重なることは、この表の読み方が妥当だという裏づけになります。

100kPaの温度を書く機種は少ない

100kPa帯の電気圧力鍋で、調理温度を公式に明記している例は、今回の確認範囲では見つけられませんでした。

そのため本文では「約120℃(理論値)」と条件つきで示しています。実際の鍋の中は、食材の量や加熱制御で理論値より少し低くなることもあります。

15℃の差が時間を大きく変える

100℃と115℃の差は15℃です。数字だけ見ると小さいのですが、かたい食材が柔らかくなるまでの時間には大きく効きます。

ワンダーシェフの解説では、78kPaの圧力鍋を使った調理例として、黒豆は普通鍋で4時間かかるところを1時間45分、豚の角煮は70分を35分としています。同社もレシピによって時間は変わると注記しているので、あくまで目安です。

それでも、豆や塊肉のように「もともと長く煮る料理ほど短縮幅が大きい」傾向ははっきり読み取れます。

台所のカウンターに、色や形の違う電気圧力鍋が8台横一列に並んでいる。どれも操作パネルに文字は入っていない
※画像はAIによるイメージ

電気圧力鍋15機種の圧力値を比較|メーカー別一覧表

2026年10月時点のメーカー公式情報で確認した、電気圧力鍋15機種の圧力値です。容量と沸点の理論値も並べて、「圧力値が何と連動していて、何と連動していないか」を見られるようにしました。

15機種の選び方(表に入れた条件)

表に入れたのは、次の2つを満たす機種です。

  • メーカー公式の製品ページ・仕様ページ・公式ショップに、圧力値がkPaで書かれている
  • 同じシリーズで容量違いがある場合は、原則として代表の1〜2機種にとどめる

そのため、同シリーズの容量違い(タイガー COK-N400、アイリスオーヤマ PC-MA4・KPC-MA3、シロカ SP-MC5D171・SP-5D152)や、待ち時間の例として取扱説明書を引くタイガー COK-A220、シロカ SP-5D151は表から外し、本文の補足として扱います。

「気圧」で表記している象印と東芝は、kPaに換算した参考行として表の下に分けました。

電気圧力鍋15機種の圧力値一覧

メーカー・型番公式の項目名圧力値沸点の理論値公式の容量表記
タイガー COK-B220最高圧力15kPa約104℃満水2.2L
タイガー COK-B400最高圧力15kPa約104℃満水4.0L
タマハシ ET-104調理圧力58kPa約113℃満水3.0L
アルファックス・コイズミ LPC-T1201使用最高圧力65kPa約114℃調理1.2L
パナソニック NF-PC400最高圧力70kPa約115℃(公式も約115℃)満水3.9L
アイリスオーヤマ KPC-MA4最高圧力70kPa約115℃満水4.0L
山善 YPCB-M220最高圧力70kPa約115℃満水2.2L
ティファール CY8751JP圧力値70kPa約115℃容量6.0L
ワンダーシェフ OEDG30作動圧力70kPa約115℃最大調理量 約2.0L
コイズミ KSC-3501使用最高圧力約70kPa約115℃(要確認)
ショップジャパン クッキングプロ V3圧力低圧40kPa/高圧80kPa約110℃/約117℃満水3.2L
A-Stage Re・De Pot EPC01A-20調理時の最高圧力83kPa約118℃満水2.0L
シロカ SP-2DP251使用最高圧力95kPa(ゲージ圧と明記)約119℃調理1.68L
シロカ SP-MC2D151使用最高圧力100kPa(基準の明記なし)約120℃満水2.4L
パナソニック NF-AC1000最高圧力100kPa約120℃満水4.2L

圧力値と容量は、2026年9月26日〜10月16日に各メーカーの公式ページ(一部は取扱説明書)で確認した値です。沸点はゲージ圧として読んだ場合の理論値で、メーカー公表値ではありません。容量は公式の書き方がメーカーで違う(満水容量・調理容量・最大調理量)ため、表記をそのまま残しています。

「気圧」表記の参考機種(換算値)

メーカー・型番公式の表記kPa換算(絶対圧として)公式の容量表記
象印 EL-MB301.2気圧約20kPa相当最大調理容量1.5L
東芝 RCP-30R1.8気圧/1.4気圧約81kPa/約41kPa相当満水3.0L

シロカ SP-MC2D151の100kPaは、同社がSP-2DP251などで「ゲージ圧」と明記していることから、同じ基準で書かれていると私は読んでいます。ただしこの機種のページでは基準が明記されていないため、表では注記を付けました。

表から読み取れること

15機種のうち、70kPa前後(約70kPaを含む)に入るのは6機種で、全体の約4割です。

表を作って一番意外だったのは、容量が大きい機種ほど圧力が高いわけではないことでした。満水4.0LのCOK-B400は15kPa、容量6.0LのCY8751JPは70kPa、満水2.4LのSP-MC2D151は100kPaです。

圧力値は「上位機種の証明」ではなく、「何を得意にしたい鍋か」という設計の表れです。70kPa帯の機種同士を比べるなら、圧力値ではなく、容量、予約、手入れのしやすさで差をつけるほうが現実的です。

なお、15kPaのタイガー COK-B220は、公式では自動メニュー数43、最大予約設定時間12時間です。私はこれを「圧力で時短する鍋」ではなく「低めの圧力をかけながら自動で煮込む鍋」と読んでいます。圧力値ではなく、メニューと予約で選ぶ機種です。


なぜ70kPaに集まる?PSC・SG基準と設計の落としどころ

70kPaが多い理由を、メーカーが公式に説明している例は見つかりませんでした。私は、時短効果・本体の強度・減圧時間のバランスがとれる落としどころが70kPa前後なのだと読んでいます。その前提となる安全の枠組みが、PSCマークとSGマークです。

PSCマーク:国の基準を満たした圧力鍋だけが売られる

家庭用の圧力なべ・圧力がまは、消費生活用製品安全法の「特定製品」に指定されています。国の技術基準への適合を示すPSCマークがないと販売できません。

経済産業省の通達では、ふたが固定されて蒸気が漏れにくく、内部の水蒸気で圧力がかかり、炊飯や煮物に使うものを対象としています。満水時の容積が10L以下のものに限られ、加熱の方式(ガスか電気か)で区別する書き方にはなっていません。

那覇市が公開している消費生活用製品安全法の案内でも、対象の例として圧力なべと並んで「高圧力になる炊飯器」が挙がっています。手元の機種が対象かを確かめたいときは、本体や取扱説明書のPSCマークを見るのが早道です。

SGマーク:任意の上乗せ基準

国の基準とは別に、製品安全協会が「家庭用の圧力なべ及び圧力がまのSG基準」を定めています。SGマークは、マーク付き製品の欠陥による人身事故に対する補償制度とセットになった任意の認証です。

富山県消費生活センターは、北陸三県の共同テストに合わせて出した消費者向けの資料で、より安全に使いたい場合はSGマークの表示がある銘柄を選ぶよう勧めています。

70kPaに収束する理由を、私はこう読んでいる

ここからは公式に書かれた話ではなく、仕様表を並べてきた私の読みです。規制が70kPaを上限と決めている、という意味ではありません。

70kPaは理論値で約115℃に達し、豆や塊肉でも十分な時短効果が出る温度です。一方で100kPaまで上げると、ふたやロック機構に求められる強度が上がり、後で触れる減圧の待ち時間も延びやすくなります。

だから70kPaは「妥協の数字」ではなく、「標準として最も無理のない数字」と受け止めています。100kPa機を選ぶなら、その差の5℃を何に使うのかを先に決めておくべきです。


圧力値が高いほど早く仕上がる?昇圧・減圧を含めた総時間

高圧ほど加圧中の調理は早く進みますが、食卓に出せるまでの総時間が必ず短くなるとは限りません。圧力が上がるまでと下がるまでの待ち時間が、圧力値によって伸びることがあるからです。

「高圧なら全部早い」は思い込みだった

正直に書くと、私は最初「100kPaの機種なら、どの料理も70kPa機種より早く仕上がる」と考えていました。

この思い込みをほどいてくれたのが、富山県消費生活センターが公開している「圧力なべのテスト結果(北陸三県共同テスト)」です。富山県・石川県・福井県の消費生活(支援)センターが、平成28年度の商品テストとして2016年11月〜2017年3月に実施したものです。

公的テストで分かった「高圧ほど減圧が長い」傾向

このテストは、北陸三県の店舗で購入したコンロ用の圧力なべ6銘柄(満水容量3〜3.5L目安)を対象に、200VのIH調理器で2Lの水を加熱し、各段階の時間を測っています。私自身の計測ではなく、公表されている公的テストの結果です。

公表結果によると、加熱開始からロックピンが上がるまでは5分26秒〜7分03秒でした。ピンが上がってから蒸気が出始めるまでは、低圧側(60kPa以下)より高圧側(80kPa以上)のほうがやや長い傾向でした。

差が大きかったのは減圧です。加熱終了からロックピンが下がるまでは、低圧側で9分50秒〜15分46秒、高圧側で7分30秒〜22分24秒でした。

圧力を切り替えられる5銘柄のうち3銘柄は、同じ鍋でも高圧設定のほうがピンが下がるまで長くかかっています。たとえばある銘柄は、50kPaで14分17秒、80kPaで21分21秒でした。

一方で、加熱終了までの消費電力量は0.46〜0.51kWhで、銘柄や設定圧力による大きな差はなかったと報告されています。

電気圧力鍋の待ち時間は取扱説明書で確認する

電気圧力鍋でも、待ち時間は公式資料に書かれています。私が見比べた範囲を並べると、次のとおりです。

機種圧力値圧力が上がるまで減圧
シロカ SP-2DP25195kPa3〜20分自然減圧5〜50分
ショップジャパン クッキングプロ V3低圧40kPa/高圧80kPa10〜30分(要確認)
ショップジャパン クッキングプロ ベーシック(要確認)(要確認)10〜30分
タイガー COK-A22015kPa(要確認)約5分(マニュアルうま圧の設定時間内)

シロカ SP-2DP251とクッキングプロ ベーシックは取扱説明書、クッキングプロ V3は公式FAQ、タイガー COK-A220は取扱説明書の図で確認した値です。

機種も条件も違うので単純比較はできません。それでも、15kPaのCOK-A220は減圧が設定時間の中に約5分で組み込まれているのに対し、95kPaのSP-2DP251は自然減圧の目安に最大50分という幅を取っています。低圧設計は減圧が短く収まりやすい方向にある、と読めます。

高圧が「得」になるのは加圧時間の長い料理

この結果から、私の基準ははっきり変わりました。

高圧の恩恵が大きいのは、加圧時間そのものが長い料理です。黒豆や牛すじのように加圧に何十分もかかる料理なら、減圧が数分延びても全体では得をします。

逆に、加圧数分で済む料理では、圧力値の差より減圧の長短のほうが総時間に効きます。仕様表で圧力値を見たら、取扱説明書の減圧時間もセットで確認する。今はそれを習慣にしています。料理ごとの実際の所要は電気圧力鍋の調理時間の目安をまとめた記事で整理しています。

まな板の上に半分に切ったかぼちゃ・牛肉のかたまり・乾いた豆が並び、奥に電気圧力鍋。手前で両手が白紙のメモ用紙を持っている
※画像はAIによるイメージ

低圧・高圧はどう使い分ける?料理別の選び方

必要な圧力は「一番多く作る料理」で決まります。かたい食材が中心なら80〜100kPa帯、野菜の煮物やカレーが中心なら70kPa帯で足ります。

高圧が生きるのはかたい食材

豆、塊肉、牛すじ、骨付きの魚のように、柔らかくなるまで長時間かかる食材は、高圧ほど短縮効果が大きくなります。

北陸三県の共同テストで行われた意識調査でも、圧力なべで作る料理は煮豆が39%で最も多く、豚の角煮・煮豚が33%で続いていました。圧力鍋の主戦場は、まさにこうした長時間の煮込みです。

崩れやすい食材は低圧か減圧のさせ方で調整

かぼちゃ、じゃがいも、白身魚のように崩れやすい食材は、高圧だと形が残りにくくなります。これは機種の欠点というより、圧力と食材の組み合わせの問題です。

加えて、減圧しているあいだも鍋の中は高温が続きます。前の章で見たように高圧設定ほど減圧が長くなる傾向があるので、崩れやすい食材ほど「低めの圧力で短く」が理にかなっています。

圧力を切り替えられる機種という選択肢

両方を作りたいなら、圧力の切り替えができる機種が候補です。

  • ショップジャパン クッキングプロ V3:公式では低圧40kPa/高圧80kPa
  • 東芝 RCP-30R:2021年10月5日の発表資料では1.8気圧/1.4気圧(絶対圧として換算すると約81kPa/約41kPa相当)
  • シロカ SP-5D151:取扱説明書では圧力調理の圧力設定範囲が50〜100kPa

ただしシロカ SP-5D151は、2026年10月時点でシロカ公式の現行ラインアップに掲載がなく、取扱説明書のみが公開されています。在庫品や中古で検討するなら、パッキンなど消耗部品の入手性も確認しておくべきです。

私が圧力値で迷ったときの判断基準

今使っている基準はシンプルです。

  • 豆・塊肉・すじ肉を週2回以上作るなら、80〜100kPa帯を優先
  • 野菜の煮物やカレーが中心なら、70kPa帯で十分
  • 両方を同じくらい作るなら、圧力切り替え機能を優先
  • 「予約して帰宅したらできている」ことが最優先なら、圧力値は二の次でメニューと予約時間で選ぶ

予約時間は、公式ではシロカ SP-MC2D151が最大15時間、パナソニック NF-PC400が3〜15時間後、タイガー COK-B220が最大12時間です。朝7時に仕込んで夜7時に食べたいなら12時間で届きますが、出勤が早い家庭は15時間のほうが余裕があります。

この順で考えるようになってから、仕様表の圧力欄の前で迷う時間はほぼなくなりました。そもそも何が作れるのかから決めたいときは電気圧力鍋で作れるものと使い道の記事が先です。


圧力鍋の安全上の注意は?ピン・蒸気・入れる量

仕様表の圧力値は「上限」を示す数字で、ピンは「今、圧力がかかっているか」を示すサインです。ピンが下がるまでふたを開けないことが、圧力値に関係なく共通の大原則です。使い始めの手順をひととおり見たい方は電気圧力鍋の使い方の基本の記事もあわせてどうぞ。

ピンは「ふたを開けてよいか」の合図

多くの機種は、圧力がかかるとふたの表示ピンが上がり、圧力が抜けるとピンが下がって、ふたが開けられるようになります。

北陸三県の共同テストでは、ロックピンが下がってふたを開けられる段階でも、本体側面やふたの表面温度は全銘柄で95℃を超えていました。ピンが下がった直後の鍋も十分に熱いので、ミトンを使う前提で扱うべきです。

蒸気の噴き出しが続くときは異常のサイン

シロカ SP-2DP251の取扱説明書では、蒸気の噴き出しが5分続く場合を異常の目安としています。

蒸気がいつまでも止まらない、ふたが開かないといったときに、力ずくで開けようとするのは最も避けるべき行動です。取扱説明書の手順に従い、解決しなければメーカー窓口に相談してください。

入れる量とノズルの詰まり

北陸三県の共同テストでは、対象の全銘柄の本体や取扱説明書に共通して、次の注意が書かれていたと報告されています。

  • 空だきをしない
  • 加熱中に衝撃を与えない
  • 使用前にノズルが詰まっていないか確認する
  • 内容物は鍋の3分の2まで、豆類は3分の1まで

同テストは、圧力調整弁や安全弁の目詰まりが、おもりの飛び出しなどの事故につながるおそれがあるとも指摘しています。使用後にパッキンを外して洗い、傷や亀裂があればすぐ交換するよう勧めています。

圧力値がいくら高くても、この確認を怠れば性能は活かせません。高圧機ほど、日々の点検の価値が上がると考えておくのが安全です。

台所のカウンターに置いたふたを開けた電気圧力鍋の真上から、吊り戸棚までの高さをメジャーで測っているところ
※画像はAIによるイメージ

高圧機を選ぶ前に確認したい重さ・設置・手入れ

圧力値の表からは、本体の重さ、置き場所、洗いやすさは見えません。ここは機種ごとに公式仕様を見て確かめる部分です。

「高圧ほど重い」は思い込みだった

私は以前、「高い圧力に耐えるぶん、高圧機は重い」と思っていました。ところが公式仕様の質量を圧力値ごとに並べると、そうとは言えません。

  • 100kPa:パナソニック NF-AC1000は8.2kg、シロカ SP-MC2D151は3.8kg
  • 95kPa:シロカ SP-2DP251は約3.9kg
  • 70kPa:パナソニック NF-PC400は4.2kg、アイリスオーヤマ KPC-MA4は4.5kg(取扱説明書の仕様表)
  • 15kPa:タイガー COK-B220は3.6kg、COK-B400は4.6kg

同じ100kPaでも、NF-AC1000とSP-MC2D151では2倍以上の差があります。重さは圧力値より、容量や本体の構造で決まる部分が大きいと読むのが妥当です。

置き場所は「ふたを開けた高さ」で測る

置き場所で見落としやすいのは、閉じた状態ではなく、ふたを開けたときの高さです。

タイガー公式では、COK-B220のふた開き時の高さは42.7cm、COK-B400は50.6cmです。吊り戸棚の下やレンジ台の棚で使う予定なら、この数字が収まるかを先に測っておくべきです。

パナソニック公式のNF-PC400の寸法は、幅34.0cm×奥行27.4cm×高さ26.2cmです。調理中は蒸気口の上にも空間が要るので、棚の中に入れたまま使う前提なら、高さには余裕を見ておくのが無難です。

食洗機に入らない機種がある

手入れの面では、パナソニック NF-AC1000とシロカ SP-MC2D151は、取扱説明書で食洗機の使用不可とされています。

利用者の声を見ても、「パッキンや細かいパーツを手で洗うのが面倒」という指摘は機種を問わず繰り返し見かけます。高圧機を毎日使うつもりなら、手洗いの手間も含めて考える必要があります。

圧力値から見た向き不向き

最後に、圧力値という観点で向き不向きを整理します。

  • 高圧(80〜100kPa)が向く:豆や塊肉を平日にも作りたい、加圧時間の長い料理が多い
  • 標準(70kPa)が向く:カレーや煮物が中心で、減圧の待ち時間を抑えたい
  • 低圧(15kPa)や予約重視が向く:時短より「台所に立たない時間」を増やしたい
  • 圧力鍋自体が向きにくい:一人暮らしで煮込みをほとんど作らない、キッチンに本体の置き場がない、炒め物や焼き物が中心。切る・献立を考える手間が負担の中心なら、カット済み食材が届くミールキットのほうが効く場合もある

まとめ:圧力鍋の圧力値は「標準70kPa、高圧100kPa」を物差しに

電気圧力鍋の圧力値は、2026年10月時点の公式情報で15〜100kPaの範囲にあり、70kPa前後が約4割を占める標準帯です。

仕様表を読むときに押さえたいのは次の4点です。

  • kPa表記はゲージ圧として読む(70kPaで約115℃、100kPaで約120℃が理論上の目安)
  • 項目名はメーカーでバラバラなので、「kPa」の単位から探す
  • 「気圧」表記は大気圧込みの値であることが多く、ゲージ圧にするには約101kPaを引く
  • 高圧ほど減圧が長くなる傾向があり、総時間で得をするのは加圧の長い料理

そのうえで、どの帯を選ぶかは作る料理と暮らし方で決まります。

かたい食材の時短を最優先するなら、シロカ SP-MC2D151やパナソニック NF-AC1000の100kPa帯。減圧の待ち時間を抑えて標準的な煮込みをこなすなら、パナソニック NF-PC400やアイリスオーヤマ KPC-MA4の70kPa帯。料理で使い分けたいなら、クッキングプロ V3のような切り替え式。圧力より自動調理と予約を重視するなら、タイガー COK-B220のような低圧設計です。

重さや置き場所は圧力値とは別に決まるので、候補を絞ったら質量とふた開き時の高さを必ず確認してください。機種ごとの容量や手入れの違いまで比べるときも、まずこの圧力の物差しを当ててから個別の仕様に進むと、迷う範囲がぐっと狭まります。


よくある質問

圧力鍋の70kPaと100kPaでは、温度はどれくらい違いますか?

理論値で、70kPaは約115℃、100kPaは約120℃です。70kPaの約115℃はパナソニック NF-PC400の公式値と一致しています。100kPaの値は蒸気表から計算した理論値で、家庭用電気圧力鍋で温度を公式に明記した例は確認できなかったため、正確な値は各機種の取扱説明書で確認してください。

電気圧力鍋とコンロ用の圧力鍋では、どちらが圧力が高いですか?

一概には言えませんが、上限はほぼ同じ水準です。電気圧力鍋は15〜100kPaで70kPa前後が中心、コンロ用はアイリスオーヤマ KAR-3LSのように低圧60kPa/高圧100kPaの切り替え式があります。北陸三県の共同テストでも、対象のコンロ用6銘柄は50〜80kPa前後の設定でした。

「1.8気圧」と書かれた圧力鍋は何kPaですか?

大気圧を含めた絶対圧として読むと、ゲージ圧で約81kPa相当です。1.8気圧は約182kPaなので、そこから大気圧の約101kPaを引いて求めます。基準が明記されていない機種もあるため、厳密に比べたいときはメーカーに確認してください。

圧力値は取扱説明書や製品ページのどこに書いてありますか?

多くは製品ページの「仕様」や「主な仕様」の表、取扱説明書の末尾にある仕様欄に載っています。項目名は「最高圧力」「使用最高圧力」「作動圧力」「調理圧力」などメーカーで違うので、項目名ではなく「kPa」「気圧」という単位で探すと見つけやすくなります。

この記事を書いた人
橘亮介

買ってから後悔する人を減らしたい。それだけのために、このサイトをやっています。

調理家電は、カタログの数字を見比べても決まりません。効いてくるのは容量・置き場所・洗うパーツの数といった地味なところで、たいてい買った後に気づきます。だから公式の仕様を突き合わせて、先に分かる形にしています。

共働きの家事分担をきっかけに、調理家電の仕様を調べ尽くすようになった橘です。数値はメーカー公式の表記を確かめてから書きます。確かめられない数字は書きません。向かない方のことも、はっきりお伝えします。

記事の中で「ここ違うのでは」と思われたら、ぜひ教えてください。

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